小田原の有機栽培紅茶を生産・販売する「如春園」で味わう、蜜香紅茶と南インドカレー
2026.07.21

歴史的な建造物が数多く残る小田原・箱根板橋エリア。築90年の町家造りの豆腐店を改築した「如春園」は、自園自製のオリジナルブランド「こゆるぎ紅茶」をはじめとする紅茶工房を兼ねた古民家喫茶店です。レトロな格子戸を開いて店内に入ると、土間には真新しい製茶工房がガラス戸越しに配置され、奥には落ち着いた喫茶スペースが広がります。


工場長の小倉さんは、新規就農として15年程前から小田原周辺で緑茶や紅茶の生産に取り組み、栽培では農薬を一切使わず、有機と無施肥にこだわる徹底ぶり。小説家・井上靖の座右の銘「養之如春」に由来する店名にもあるように、「何事を成すにも、春の光が万物を育ててゆくようにゆっくりと、あせらず、ゆたかにやっていく」という意味のごとく、自然の変化を見つめて大切にお茶の樹を育てています。

ウンカ芽から製造する希少価値の高い「こゆるぎ蜜香紅茶」
このほかにも如春園の特徴は、お茶や自然に親しむきっかけとなるようなワークショップを開催しています。今回、梅雨時期に行われる「ウンカチャレンジ」と題した茶摘みイベントに参加しました。会場は如春園が手掛ける小田原周辺の3つの茶畑のうち、樹齢40年以上の“やぶきた種”が植えられた眺めのいい茶畑です。
ウンカとは体長2㎜~5㎜程のチャノミドリヒメヨコバイのことで、二番茶の時期に若葉の汁を吸って茶葉の成長を阻害します。一見、害虫に思われますが、ウンカに吸われた芽は自己防衛のために特有の成分を分泌し、発酵過程で独特の甘い香りを発生するそうです。これが、台湾茶では「東方美人茶」と呼ばれる高級茶の原料になるとのこと。
小倉さんはこの茶葉に着目し、ワークショップ参加者とともにウンカ芽を手摘みで丁寧に集めて、マスカルフレーバー漂う紅茶に仕上げています。


「ウンカチャレンジ」は参加者一人当たり300gの摘採が目標ですが、広々とした茶畑からウンカ芽を見つける作業は難しく、私は残念ながら目標未達成。青々と密集した葉の中から、迷うことなくウンカ芽を摘む小倉さんの慣れた手つきとは、雲泥の差です。

素材と味の変化を意識して、ひと口ごとに五感で楽しむ
私たちが収穫したウンカ芽は、如春園の紅茶工房で水分を飛ばして揉みこまれた後、発酵を経て秋ごろに「こゆるぎ蜜香紅茶」として販売されます。今すぐその美味しさを実感したい私は、現在、店舗での取り扱いがある一昨年の蜜香紅茶を味わうことを口実に、ランチの看板メニューでもある南インドのスパイスカレーも目当てに、改めてお店に伺いました。


今回選んだのは、色とりどりの副菜が並ぶ「スペシャルミールス カレー3種盛り」。まずは一品一品味見を少しずつ。さらに、お皿をパレットのようにして食材を組み合わせて食べてみると、変化する味わいの魅力に気づけます。また、カレーに調合されたスパイスが体を温める感覚は、五感すべてが満たされていくようです。
「こゆるぎ蜜香紅茶」は、ひとくち目はやわらかい香りと味わいが広がり、マスカットのようなフルーティーで甘い風味を実感。茶葉の形状をそのまま残したフルリーフの紅茶が広がるティーポットへ何度も差し湯を注いでも、雑味なく最後の一滴まで香りと味わいを楽しめました。足柄茶で知られる県西エリアですが、高齢化や後継者不足により日本茶の生産者が減る中、和紅茶という新たな分野で地産地消の魅力を発信しています。

INFOMATION
TEA FACTORY 如春園(じょしゅんえん)
小田原市板橋636(駐車場4台スペースあり)
小田急箱根登山線・箱根板橋駅から徒歩3分
営業時間:11:30〜17:00(ランチタイム11:30~14:00)
定休日:日・月曜(新茶、二番茶の時期は不定期)
※オンラインショップあり
TEL:0465-20-4361
https://www.joshunen.jp/
※ おでかけの際には、事前にホームページ等で最新の情報をご確認ください
ライター まりっぺ
のんびりとした環境で暮らすにはちょうどいい、
西湘エリア。
子供が夢中で走り回れる緑豊かな公園をはじめ、
昔ながらの商店や個性あふれるショップ、
四季折々の地元食材などマイペースで情報発信していきます。

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