小田原・曽我梅林で昔ながらの製法守る「昇珠園」の名物は、皮が薄く肉厚の完熟十郎梅干
2026.06.13

早春の訪れを待ちわびるように開催される「小田原梅まつり」ですが、会場でもある曽我梅林周辺の梅農家さんたちは、5月下旬ごろから梅の実の収穫に向けて繁忙期がはじまります。先祖代々この地で、自然の恵みを生かした稼業を継承する19代目の穂坂昇さんは、妻の珠美さんとともに「昇珠園(しょうじゅえん)」を営んでいます。
小田原の梅の歴史は古く、小田原北条氏の時代に軍用に供するため梅づくりが奨励されたと伝えられていますが、穂坂さんの幼少期は現在ほど梅林が広がっていなかったそうです。かつて造り酒屋を営んでいた穂坂家が、梅農家として舵を切り始めたのは父の時代から。梅の生産・加工・販売を軸に拡張したのは、社名の由来にもなっている昇さんと珠美さんご夫婦です。

曽我梅林にある「昇珠園」を営む穂坂昇さん(左)と珠美さん
ミネラル豊富な地下水と水はけの良い土壌が、美味しい梅を育てる
曽我梅林が広がるこの地は、曽我山から湧き出るミネラル豊かな地下水と、海底が隆起してできた水はけの良い土壌に恵まれ、品質の高い梅の実が育つ理想的な環境です。
小田原を代表する「十郎梅(じゅうろううめ)」は、昭和40年ごろに発見された品種で、種が小さく果肉が肉厚で、皮が非常に薄く柔らかいのが特徴です。昇珠園では十郎梅を筆頭に、白加賀梅、杉田梅、南高梅、小梅の主に5種類が栽培されています。
収穫時季は品種によって異なりますが、概ね6月初旬ごろから。昇珠園の十郎梅は、風味を最大限に生かすため完熟した実が自然落下するのを待ち、ネットに落ちたものを収穫します。完熟すると傷みやすくなるため、スタッフを増員して雨の日も風の日も手作業で拾い集めます。穂坂さん曰く、温暖化の影響からか収穫時期が年々早まっているとのこと。

収穫した実は、その日のうちに洗い上げて大きな樽に天日塩を入れて漬け込み、梅雨明け後には天日干しや丁寧な選別が行われます。「デリケートな完熟の十郎梅は扱いが難しいですが、食べた方に喜んでいただくため手は抜けません」と穂坂さんご夫婦は口をそろえます。

こだわりの完熟十郎梅干や梅の加工品が並ぶ「梅花」
曽我梅林のある県道72号沿いに昇珠園の小さなお店「梅花」があります。店内には手間暇かけて仕上げた梅干や梅の加工品をはじめ、収穫時季には丸々とした生梅も数量限定で販売され、品質が高く変わらぬ味を求めて遠方からのリピーターも多く訪れています。
十郎梅なら、原塩のみを使用した塩分18%のすっぱい梅干をはじめ、塩分控えめのうす塩仕立て、はちみつ梅干などを用意。樽に入ったお買い得品から、食べ応えある大粒の一粒梱包まで用途に合わせて選べます。


※梅酒用の青梅は、5月上旬ごろから予約受付。収穫量に応じて早期終了する場合があります
箱根の有名ホテルの朝食にも選ばれる、風味豊かな「うす塩仕立て」
我が家へのお土産に、国産天然素材を使用した調味液にじっくり漬け込んだ「うす塩仕立て」をチョイス。箱根の有名ホテルにも卸しているそうで、その味はお墨付き。今回は秀品と変わらない味わいながら、少し傷があるお買い得パックを購入してみました。
ふっくらとした梅干は、口に入れると皮がほどけ、梅肉の香りと共にふんわりと優しく広がります。梅農家さんの高齢化や食品衛生法の改正で、小規模な梅干し加工業者の撤退が相次ぐ中、昔ながらの製法や完熟梅にこだわる理由をこの一粒で実感できました。

INFOMATION
昇珠園(しょうじゅえん)
小田原市曽我別所93(駐車場あり)
JR御殿場線・下曽我駅から徒歩20分
売店の営業時間:梅まつり期間は9:00〜17:00。そのほかの期間は土・日曜、祝日(年末年始を除く)の10:00~17:00ごろ
※オンラインショップあり
TEL:0465-42-0635
※ おでかけの際には、事前にホームページ等で最新の情報をご確認ください
ライター まりっぺ
のんびりとした環境で暮らすにはちょうどいい、
西湘エリア。
子供が夢中で走り回れる緑豊かな公園をはじめ、
昔ながらの商店や個性あふれるショップ、
四季折々の地元食材などマイペースで情報発信していきます。
