湘南で建てる自然素材の注文住宅|神奈川エコハウス・岸未希亜さんに聞く心地よい家づくり
2025.11.04

日常に喜びや彩りを
神奈川エコハウス・岸さんが描く、心地よい暮らしの設計
県産木材を使い、地元の職人とともにつくる天然素材の家──。
神奈川エコハウスが手がける住まいには、素材へのこだわりと、地域に根ざした確かな設計思想が反映されています。今回お話を伺ったのは、同社の取締役でもある一級建築士・岸 未希亜(きし みきあ)さん。2009年から神奈川エコハウスに加わり、2025年には著書「間取りの学校」を出版。設計とそこにある考え、家に込める信念などをじっくりと語っていただきました。

環境と暮らし、家族の声が響きあう調和のとれた家づくり
―本日はよろしくお願いいたします。神奈川エコハウスさんは、健康と環境に配慮した家づくりを掲げています。
岸さん(以下、岸):はい、私たちは無垢の木や漆喰など、自然素材をベースに身体に負担をかけない家をつくっています。主要な木材に県産材を使った地産地消の家、地域の風土に合った住まいをお届けしています。
―天然素材を使った木造住宅となると、作り手の技術も必要になりそうですね。
岸:木や漆喰といった自然素材を生かすには、素材の選定に加えて、設計と施工の丁寧さが求められます。そのため私たちは地元の経験豊かな職人たちと力を合わせ、高い施工力を実現しています。

―ハイレベルな施工はもちろん、高いデザイン性も多くの人に支持されているポイントでしょう。施工事例をいくつか拝見しましたが、木材が効果的に使われていて非常に印象的でした。スキップフロアなど、現代の間取りにも上手くマッチしていて。
岸:ありがとうございます。設計では建て主の要望も大事ですが、敷地や周辺環境で決まってくることも多く、それが住み心地にも大きく影響します。永く住み続ける家なので、メンテナンス性にも配慮しています。
─間取りも住み心地に大きく影響しますが、何か意識している点はありますか?
岸:家族の距離感やつながりは特に意識しています。私の師匠である吉田桂二は、間取りに関する著書が数多くあり、リビング階段をいち早く提唱しました。当時は玄関の近くに階段があって2階に直行できる間取りが主流。非行やいじめ等の問題は、思春期に親子関係が希薄になる間取りも原因のひとつではと考えられていました。
─ なるほど、間取りを工夫することで、コミュニケーションの場と機会を増やしているのですね。
岸:リビング階段だけではなく、吹抜で1階と2階をつないだり、リビングの一角や子供部屋の前にスタディコーナーを設けたりして、積極的に親子の接点をつくるようにしています。そのうえ、部屋よりも中間領域を充実させると、家は魅力的になるんですよ。
─岸さんが設計された神奈川エコハウスのコンセプトハウスにも、その考えが反映されていそうです。
岸:はい。リビング階段や吹抜、スタディコーナーによって、自然に家族と言葉を交わしたり、気配を感じることのできる空間になっています。また、現代住宅では柱・梁を全く見せないのが一般的ですが、当社のアースハウスは真壁造りがスタンダードです。柱・梁を美しく見せることにはこだわっていて、すっきりした中にも木に包まれる安心感や癒しを感じられます。15年の経年変化で味わいが増した空間をぜひ体感してください。

「間取りの学校」で読み解く、岸さんの設計と家づくりへの真摯な想い
─今年は住まいにまつわるあれこれを詰め込んだ書籍「間取りの学校」を出版されました。これは2018年出版の「最高に分かりやすい住宅の間取りの教科書」の改訂版と伺っています。
岸:そうですね、解説や事例の一部を改訂しました。「設計者と家づくり初心者のための参考書」として、土地選びから設計上の注意点まで幅広くカバーしています。

家づくりをお考えの方から専門家の方まで参考になる一冊です。
─新たな事例や解説が気になります。コロナ禍を経て、住まいに対する考え方や間取りは大きく変わったように思います。
岸:家で仕事をする人が増えたのが最大の変化ですね。本では主にキッチンや水まわり、リビングの解説を新しくしました。この数年で室内干しやガス乾燥機の需要が増えたため、その点も盛り込んでいます。総2階の家や2階リビングの事例も入れ替えているので、初版を読了している人にもお勧めです。

─特に思い入れのあるトピックをおしえてください。
岸:町並みとの調和について触れた章です。海外と比べれば一目瞭然ですが、日本の家はバラバラで「町並み」という概念すら忘れられています。個人住宅は確かに「私」のものですが、外側は「公」との接点であり、個性をムキ出しにするのは賛成できません。自分だけが頑張っても町並みを変えることはできませんが、だからこそ声を大にして伝えたいと思っています。
─家だけでなく、町並みとの調和も。家づくりを検討している人に読んでほしい一冊ですね。岸さん、貴重なお話をありがとうございました!
岸 未希亜 Mikia Kishi
ディレクターアーキテクト(取締役)
一級建築士
横浜市戸塚区出身。早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了(建設工学専攻)。木造建築の大家である吉田桂二先生に師事し、同氏が主宰した「木造建築学校」では講師を務め、全国から集まる「プロ」の生徒に住宅設計を手ほどきしてきた。2009年より神奈川エコハウスに加わり、住宅デザインの向上に尽力。また、他県から設計を依頼されることも多く、建築家としても活躍中である。

取材協力:
神奈川エコハウス株式会社
藤沢市辻堂太平台2-11-5 Tel:0120‐28‐0054