湘南でオーダーキッチンをつくるなら【オーダー家具の専門家に聞いた】#2

2025.11.14

【キッチンをオーダーして作るということ その2】

-キッチンというスペースを考える前に気にしておきたいこと、パントリーについて-

前回のお話では、新居でどのように暮らしていきたいのかという思いを描くことが大切だというお話をさせて頂きましたが、なんとなくそのイメージは湧いてきましたでしょうか。

「キッチンからお庭を見ながら料理をしたいな。」
「娘が大きくなったら一緒にキッチンに立てるくらいの広さにしたいな。」
「買い物から帰ってきてすぐに具材を分けられるような動線にしたいな。」
「母と一緒に立てるような快適な高さのキッチンを考えたいな。」
「私がここでいつかお料理教室を開きたいからもう少したくさんの人が集まれるレイアウトが良いな。」

なんて、いろいろな暮らしのイメージが生まれてくると、もう少し具体的なかたちが見えてくるかもしれませんね。
そしていよいよどのようなキッチンにしていこうかと考えてみる前に、考えておくと良いいくつかの大
事なことがあります。
その一つがパントリーがあるかどうかということです。

【パントリーがあるかどうかでキッチンの形は大きく変わってきます】

私が自分の暮らしを見つめてみて、またいろいろなお客様のところに訪ねては、よく思うことが「パントリーと呼べるほどの大きなスペースではなくても、ある程度フレキシブルにいろいろなものがしまえる場所があると良い」ということです。
決まったものを決められた場所にしまう収納も大切なのですが、「とりあえずおいて置ける場所」という感じで、どんなものでも置きやすい場所があるのは大切だと思うのです。

トップページのH さんのパントリー。

回遊動線が生まれるシンクがあるアイランドカウンターと壁付けのコンロのあるキッチンというセパレートタイプのレイアウト。その奥にあるパントリーには冷蔵庫や家電も置ける少し余裕を持った広さのパントリーを作っておくことで、キッチン周りをすっきりさせることができます。

「さりげない仕草で」葉山 H 様

私たちは、オーダーキッチンのほかにいろいろなオーダー家具を作っております。
その中でも食器棚を作る機会が多いのですが、作った後にお客様のお宅を訪ねてみると、ときどきお見かけすることには、意外にも食器棚を作ったのに物がしまいきれていない、ということでした。
具体的には、普段保存しておくもの、ペットボトルのお水だったり、缶ビールだったり、キッチンペーパーだったり、お米だったり。
主にマンションなどの多く見られるストック品などをしまうスペースが計画されていない間取りだったためなのですが、あったとしても間口が狭くて奥行きが深い物入などが多く、ストック品をしまうのに使いにくい収納になってしまっていたりと使いにくい収納が多かったのでした。
だいたい、買い置きしておきたいものって、運びやすいように取っ手がついていることが多いのですよね。取っ手がついていると、しばらくの間だけここに置いておこう、と思っていたものが、いつの間にかそこが定位置になってしまって、さらにその上にも細かなものが載ってしまって、下の方のものが取り出しづらくなってしまったりして・・。
物の場所を決めてしまうことも大切ですが、しばらくの間置いて置けるスペースが少しでもあると、たいへん使いやすくまた整理された気持ち良い空間になると思うのです。

ですので、キッチンを作る前にパントリーを設ける空間があるかどうかでキッチンやキッチン背面の食器棚の収納の形が大きく変わってくると思います。

それではそのパントリーを考えるとき、どのようなスペースだと使いやすいのでしょうか。

「パントリーがある場合だと・・」

パントリーの作りとしては、それ自体はシンプルなスペースで良いので、自分一人がきちんと立てるくらいの幅60 センチ以上のスペースで、物が見渡せるくらいの奥行45 センチ~50
センチくらいがあると便利かと思われます。
市販のケースやカゴを使って物をしまうことも多いと思いますので、そのケースがきちんと入る奥行があると便利ですね。
また、ストック品と一緒にオーブンレンジや炊飯器などの電化製品も置く場合はそのサイズも考慮した空間になっていると機能的に使うことができます。
収納の形としては棚板が数枚あるだけのスペースになっていることが一般的で、下のほうは見通しやすいようにゴミ箱やお米など大きなものをそのまましまう方が多かったりします。掃除機をしまうという方もいらっしゃいました。
下のほうに細かいものをしまいたいということでしたら、きちんとした引き出しにしておくとその都度しゃがんで中身を確認する必要なく見渡せるので使いやすいと思います。
冷蔵庫もパントリースペースに設けるというお客様もいらっしゃいましたが、レイアウトによっては冷蔵庫に行くたびにみんなの通り道になってしまって狭く感じるということもありましたので、ご家族の動線によっては冷蔵庫は別のスペースに置く方が使いやすかったりします。

実際の制作例

I さんのパントリー。
玄関を上がるとすぐにパントリーがあります。そのパントリーを抜けてキッチンにたどり着く動線。パントリー内に冷蔵庫も置かれているもので、買ってきた食べ物や日用品をカウンターにおいてすぐに仕分けすることができて、とても使いやすいレイアウト。

「おすそわけ」群馬 I 様

F さんのパントリー。
ダイニング側とキッチン側の2か所からパントリーにアクセスできて、ぐるぐると回遊できるような動線になっています。ご家族皆さんでお料理をする時にも狭さを感じさせることなく快適に収納できて動くことができます。

「無骨だけれど、暮らしは愛らしく」藤沢 F 様

F さんのパントリー。
ダイニング側とキッチン側の2か所からパントリーにアクセスできて、ぐるぐると回遊できるような動線になっています。ご家族皆さんでお料理をする時にも狭さを感じさせることなく快適に収納できて動くことができます。

「やさしいひだまり」武蔵野 T 様

「パントリーがない場合では・・」

スペースが取れない場合は、調理のたびにキッチンから離れたストック棚から物を出し入れするのは毎日の作業を考えると不便があると思いますので、食器棚スペースにある程度ストック品をしまう必要が出てくると思います。
そうなると食器をしまう部分と家電を置く部分とストック品をしまう部分というふうに用途で分けた食器棚スペースを考える必要があります。
場合によっては、食器棚だけではなくキッチンのほうにも乾物や調味料などを余分にしまえるスペースを設ける必要が出てきたりします。

実際の制作例

T さんのトール収納。
キッチンの背面収納の一部をパントリーとして活用。(右端の背の高い収納部分です。)
そのパントリー部分はシンプルな大きな扉を開けると中に可動棚が入っている形になっています。
ペニンシュラキッチンをアイランドキッチンのようなレイアウトにしているため、回遊動線で使いやすくなっています。

「培う」つくば T 様

私の自宅です。
買い物から戻ってきて玄関からすぐに買ってきたものをキッチンの上に置いて、冷蔵するものストックするものを選別できるようなレイアウトで、根菜類やストックの飲料や酒類は玄関の奥に設けた風が抜ける冷暗所を兼ねたシューズクローゼットに置いています。

「私のアトリエ」海老名 T 様

外を見ながらお料理をしたいということで壁付けのキッチンになっています。
かわりにキッチンとダイニングを仕切るためのカウンターを設けて、そこを食器棚を兼ねた大容量の収納にしてい
て、ここをパントリー代わりに活用しています。

「みどりをかりる」葉山 S 様

【とりあえず見やすいところに置いておく、という場所があるとよいかも】

このパントリーの有無でキッチンという空間が大きく変わってくると考えております。
でも、それほど深くどんなものがしまえたらよいのかあれこれ悩む必要はなくて、「とりあえずどのようなものでも見やすく置いておける場所」が少しでもあるくらいで良いと思います。
そのスペースがキッチンの隣に確保できるか、できない場合はそのような場所を食器棚などの収納の一部に確保できるかどうか、それによって物の管理や整理がしやすく、また来客時にその都度片づけなくても整ったお部屋でいられますから、こういうスペースを設けておくのは毎日の暮らしにゆとりができて良いなと思うのです。

さて、この「気にしておきたいこと」がもう一つあるのです。
(なかなかオーダーキッチンの素材や機能にたどり着きませんね、すみません。)
そのお話はまた次回・・。

取材協力:有限会社フリーハンドイマイ

神奈川県高座郡寒川町倉見962-3