極楽寺散策ガイド|鎌倉の寺・そば・カフェ・パン屋を巡るローカルコース
2025.11.25

鎌倉市の西端にあり、湘南の海と山に挟まれたエリア「極楽寺」。歴史ある寺社や旧跡が残る情緒あふれる町並みです。自然豊かで落ち着いたこのエリアには、雰囲気あふれる縫製工房や地元でも評判のおそば屋さんなど個性的なお店が点在。レトロな駅舎を抜けて、緑の中を歩けば、まるで小さな冒険気分。スパイスやパンの香りに誘われて、扉を押して中をのぞきたくなる瞬間も、街歩きならではの楽しさです。紅葉でさらに彩りが増す極楽寺エリアを、ゆっくり散策してみませんか。
1.成就院
鎌倉市極楽寺1-1-5 TEL. 0467-22-3401

【四季折々の景観に癒やされる、由比ヶ浜を見下ろす静寂の寺】
極楽寺坂の途中、鎌倉の自然に囲まれて静かに佇む成就院。承久元年(1219年)、鎌倉幕府三代執権・北条泰時が建立したと伝わり、弘法大師が修行した霊跡としても知られている。ご本尊は不動明王。良縁を結ぶと評判で、仕事や恋愛のご縁を願い参拝する人が後を絶たない。


境内への道は、煩悩の数と同じ108段の石階段。整備されていて歩きやすいが、履きなれた靴で訪れるのがおすすめだ。一歩一歩踏みしめて登った先には、由比ヶ浜を見下ろす大パノラマが。きらめく波を遠くに望む眺望は、鎌倉の隠れた絶景スポット。

2.日曜製作所/サカノウエスタンド
鎌倉市極楽寺2-1-18 営業日・営業時間はインスタをチェック
日曜製作所(@nichiyoseisakujo) サカノウエスタンド(@sakanouestand)

【散策中に立ち寄りたい!縫製工房から生まれたコーヒースタン】
極楽寺駅を降り、左へ進むと極楽寺坂が見えてくる。その坂の下りはじめに、小さな工房『日曜製作所』はある。手がけるのは、サーフトランクスやトートバッグなどの布製品。
100年以上前にアメリカで製造されたヴィンテージミシンが、いまも現役で活躍する。厚手の生地を縫うこのミシンは、重厚で無骨な佇まいながら、ぬくもりあるステッチを生み出す。そのミシンを操るのは、代表の甲州さんをはじめとする職人たち。



アパレル業界で企画や生産に携わってきた甲州さんは、その経験を活かして自らの手で縫い始めたことが工房の始まりとなった。自身のサーファーとしての視点も重なり、3年前からは本格的にサーフトランクスの制作を開始。


サーフィンはもちろん、タウンユースできるデザインと機能性も備えているのがうれしいポイントだ。同素材を使ったトートバッグはポケット付きで、男女問わず使いやすいデザインとなっている。


その工房の一角を活用し、今夏オープンしたのが『サカノウエスタンド』。物置だったスペースを、コーヒースタンドへと生まれ変わらせた。看板メニューはユニークな名前の「コレガオレ」。

エスプレッソとオーツミルクを合わせた1杯は、すっきりとしていて優しいコクと甘みが特徴。葉山の湧き水を使用しているからか、まろやかさも感じる仕上がりに。今後は自家製レモネードも登場予定とのこと。工房とスタンドのオープン日はInstagramで告知されるため、立ち寄る前にチェックしておきたい。
3.ブーランジュリー ベベ
鎌倉市極楽寺1-4-3 1F TEL. 0467-24-8595
営業時間 10:00ー18:00 定休日 日曜日・月曜日
【小さなお店にぎっしり詰まった幸せ。地元内外で愛される評判のベーカリー】
極楽寺駅から2分ほど歩くと、白い壁に木の扉が映えるベーカリーが見えてくる。小麦の香りがただようここは、『ブーランジュリーベベ』。2010年の開店以来「地元の人が毎日通えるパン屋」を掲げ、本格的な味を気軽に楽しめる価格で提供し続けている。

かわいい店名は、オーナーの安藤さんの愛猫の名前に由来。ショップカードにも愛らしい猫の姿が描かれている。店内の棚には食事系からスイーツ系まで、常時30種類ほどのパンが並ぶ。午前中は惣菜パンやスイーツパン、午後にはハード系と人気の角食パンが次々と登場。




訪れるたびに異なる顔ぶれのパンと出会えるのも楽しみのひとつだ。甘く香ばしい香りに包まれて、ひとつずつ吟味する時間もワクワクする。おすすめは、芳醇な発酵バターと小倉あんの「小倉バター」。
バターの濃厚な風味とコク、あんこの控えめな甘さのバランスが絶品で、人気の理由が自然とわかる。
歯切れの良い軽い食感の生地と一緒に、思いきり頬張りたくなる。サクサクのクロワッサン生地に、自家製カスタードと生クリームをたっぷり詰めた「クリームホーン」もぜひ試してほしい一品。
地元の常連から観光客までを惹きつける魅力が、小さなお店とパンにぎっしり詰まっている。

4.スパイス アナン邸
鎌倉市極楽寺2-6-14 TEL. 0467-25-6416
営業時間 11:00ー16:00 定休日 不定休

【伝統と新しさが香る。極楽寺のスパイス専門店】
極楽寺にある、築100年を超える一軒の古民家。風流な佇まいのこの家が、スパイス専門店の『アナン邸』だ。扉を開けると、各地から取り寄せたスパイスの香りがふわりと漂う。そこはまるでエキゾチックな異国の市場のよう。ここを営むのは、アナン株式会社3代目のメタ・バラッツさん。



少量だからこそ可能な手仕事を大切にし、厳選したさまざまなスパイスを新鮮なまま届けている。店内には単品スパイスのほか、ガラムマサラなどオリジナルブレンドのミックススパイスが勢揃い。
ずらりと並ぶビンは圧巻で、宝探しをしているようなワクワク感がこみ上げる。なかでも特に有名なのが「カレーブック」。



スパイスとレシピつきのカレーキットは、1983年の発売以来、食卓にスパイス文化を根づかせてきた。
当時はまだスパイスカレーが珍しかった時代。本格的なスパイスを知る入口となり、多くの人の舌と心に刺激を加えた。
そしていま、「スパイスの使い方と魅力をさらに広めたい」と、バラッツさんは料理教室やワークショップも展開。さらに発酵食品や和食材とのコラボを通じて、スパイスの可能性を広げている。
5.おそば 手繰
鎌倉市極楽寺1-3-1 TEL. 0467-26-2640
ランチ 11:30ー15:00 ディナー 17:30ー21:00
定休日 木曜日

【鎌倉・極楽寺で出会う。香り高い手打ちそばの隠れ家】
極楽寺駅前すぐ、江ノ電の線路を望む場所に佇む『おそば手繰(たぐる)』。手打ちそばをカジュアルに楽しめると、地元内外で評判を集める注目店だ。
オーナーの岡田さんは、地元の名店『鎌倉 松原庵 青』でそば打ちを学んだ実力派。本格的な手打ちそばと聞くと気後れしがちだが、店内はカフェを思わせる洗練された空間で、女性一人でも入りやすい。


こちらの看板メニューは、茨城県産の放し飼い鴨を使用した「鴨せいろ」。鴨は通常45日ほどで出荷されるが、この鴨はその2倍の時間をかけて育てられている。素材の力を生かしたやわらかな肉とうま味は、しみじみと奥深い。




6.極楽寺
鎌倉市極楽寺3-6-7 TEL. 0467-22-3402

【鎌倉の古刹で堪能する。四季の彩りと歴史の時間】
その名が駅名にもなっている極楽寺駅から歩いてすぐ、線路沿いにある「極楽寺」。日本遺産にも認定された古刹であり、1259年に創建されたと伝わっている。
訪れるとまず出迎えてくれるのは、茅葺き屋根の立派な山門。静かな力強さに満ち、凛とした佇まいには、思わず背筋が伸びるほど。

向かって右の入口から境内に入ると、参道が現れる。本堂まで続く参道の両側には桜の木々が並び、春にはピンクの小さなアーチを描く。
極楽寺は季節ごとに彩りを添える花々も見どころのひとつ。新緑、色とりどりのアジサイ、可憐な梅など、四季折々に表情を変える。



本堂にお参りした後は、ゆっくり境内の散策を。水をたたえた石鉢は、忍性菩薩が実際に使ったとされる薬鉢や石臼。当時は無料の診療所や孤児や老人、病人たちを収容する施設もあり、多くの人を救ったという。
これらの遺物は度重なる天災や戦禍をくぐり抜け、忍性菩薩の慈悲の実践を今に伝えている。境内の宝物館には、国の重要文化財に指定された古仏も安置。
春や秋の公開時期に訪れると、貴重な仏像を拝観できる。静かに時が流れる境内で、四季の美しさを楽しみながら、忍性菩薩に思いを馳せてみては。
~ Local TiME編集部 ~
極楽寺は、有名観光地のすぐそばにありながら、どこか時間の流れがゆっくりと感じられる街。
寺の静けさ、店主の人柄がにじむ小さなお店、坂道の先にふと広がる景色――歩くほどに、この場所ならではの心地よさに気づかされます。
目的を決めすぎず、気になる場所に立ち寄りながら、自分のペースで巡るのがおすすめ。そんな極楽寺の散策が、日常から少し離れるきっかけになればうれしいです。