【湘南】鵠沼海岸発の家具工房|85furniture 八反田吾郎さんが作る癒やしの家具
2025.12.01

昭和の食卓を思い起こさせる家具、ちゃぶ台。レトロでかわいらしい雰囲気と魅力が見直され、いま人気が再燃している。なかでも「ほっこりする」「ずっと触れていたくなる」と評されるのが、「癒されるちゃぶ台」と名付けられた一台だ。これを製作しているのは、鵠沼海岸にある家具工房『85ファニチャー』。「お褒めの声を多くいただき、ありがたい気持ちでいっぱいです」とオーナーの八反田吾郎さんは、顔をほころばせる。さまざまな木製家具が並ぶギャラリー兼工房で、家具づくりへの想いやこだわり、「癒やし」の秘密を伺った。
鵠沼海岸の工房から発信
癒やしの家具に込める想いとぬくもり

家具づくりへの想い、再び。
「やりたいことから」生まれた工房
以前からものづくりが好きで、高校卒業後の進路に家具屋を考えたこともあったと話す八反田さん。
しかし当時は家具づくりの道へは進まず、まったく別の道を選択した。その後、ECサイトを中心に輸入販売業を営んでいたものの、「自分が本当にやりたいことって何だろう?」との想いもあったという。
そんな中、複数の家具をDIYで製作する機会に恵まれた。八反田さんは建築関連の仕事は経験していたが、家具製作はまったくの独学。試行錯誤の末にできあがる家具を見て、ものづくりへの想いが再燃したと笑う。
「家具をつくるのは、手間もかかるし、細かい調整も必要で大変なんです。でも形になるととても気持ちいいですし、喜びもひとしお。仕上がりはいま考えるとイマイチでしたが、これがやりたかったことだ!と実感しました」と八反田さん。
その経験は85ファニチャーを立ち上げる強い原動力となった。

「いいと思えるものを丁寧に」
マンションの一室から広がった家具ブランド
八反田さんは勢いそのままに、自身の会社に家具製作・販売部門を設立。「技術も品質も、数をこなせば自然とアップすると思って。
ですがスタッフは、急にそんな発表をされて驚いたでしょうね」と笑う。製作場所に選んだのは、事務所の一部屋。マンションの一角、6畳の小さな部屋から大きなチャレンジが始まった。
「とはいえ、いきなり増産体制に入るのではなく、受注製作からはじめました。ハンドメイドマーケットで1点ずつ出品し、小さくスタートしたんです」。八反田さんは、当初はまったく売れなかったと苦笑しながら振り返る。
だが、「自分がいいと思えるものを、丁寧に作り続ける」というスタイルを貫き、真摯に家具づくりに取り組み続けた。木のぬくもりあふれる作品は、SNSやレビューでも少しずつ話題に。
注文がひとつ、またひとつと入るようになった。それに合わせて工房を50平米ほどのマンションに移し、スタッフも増員。ようやく軌道にのってきたと、手ごたえを感じたという。
触れて感じる杉の魅力── 鵠沼海岸の工房から生まれるやさしい家具
そして2020年には、現在の鵠沼海岸の工房へ。ダイビング用品の倉庫だった建物は、立地もさることながら広さも十分。加えてリノベーション可だったことも、八反田さんの心をくすぐった。
自身で思うままに改装し、ギャラリーも開設した。85ファニチャーが扱うのは、杉材が大半。一般的に杉は、傷がつきやすく扱いにくいと敬遠される木材だ。
だが八反田さんは、杉材には魅力が詰まっていると話す。「杉は比較的安価で手に入りますし、オイルもよく馴染む。なによりやわらかくすべすべしていて、触れると気持ちいいんです」との言葉どおり、その手ざわりは多くの人を虜に。

なめらかな触り心地は、細かな手作業の積み重ねによるものだ。節を丁寧にパテで埋め、何度もやすりがけと調整を繰り返す。角を丸める気配りも忘れない。節や木目、反り方などの個性を調和させるのは「難しい反面、やりがいがあって楽しい」と八反田さん。
その過程には、効率や生産性では語りきれない、ものづくりの深い魅力が詰まっている。
リフォームや空間づくりも トータルで──八反田さんが描く家具と暮らしの未来
2024年8月には鵠沼海岸の商店街に『85furniture cafe & gallery』をオープン。工房同様、内装はすべて八反田さんが手がけたこだわりの空間だ。店内には自社製のテーブルやいす、ちゃぶ台が並び、実際に質感や大きさを確かめられる場となっている。

「ギャラリーと聞くと、何だか身構えてしまうし入りにくい。だったら食事やお茶と一緒に、家具も楽しめる場所にすればいい」。そんな考えがこの店の原点なのだという。
提供するのは、地元野菜を中心にした創作和食。やさしくほっこりするメニューは、店内の家具とも雰囲気がよくマッチしている。さまざまなチャレンジを重ねていく八反田さん。
今後も挑戦したいことはたくさんあるようだ。「最近はリフォームやリノベーションのお話もいただいていて。私たちの木材の知識とノウハウを生かして、心地いい空間づくりのお手伝いがもっとできたら」とやさしく笑う。
「いまは効率と便利さが重視される時代。でもだからこそ、手仕事の繊細さやぬくもりが求められているのかもしれませんね」。鵠沼海岸発のハンドメイド家具は、今後も多くの人に愛され、癒やしを届けるに違いない。

八反田 吾郎さん
株式会社85ファニチャー代表。
無垢材家具製作からスタートし、鵠沼海岸で
「85FURNITURE」「85 FURNITURE CAFE &GALLERY」を運営。現在はリフォーム・リノベ事業へも拡大し、センスあふれる空間づくりと暮らしを豊かにする発信を続けている。
ー 取材協力 ー
85furniture
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Tel.0466-21-8936
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Instagram@85furniture
85 Furniture – 湘南から素朴で温かい、味わいのある無垢材ハンドメイド家具をお届けします。
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